いんせい!! #11 通学!!

f:id:yumehebo:20201225161118j:plain

陽炎が見える初夏の路面を、やんわりと見つめながらハンドルを握ります。目的地は108km先です。

 

#11 通学!!

 
神奈川県南西端地域在住のなんちゃって社会人院生たる筆者には、通学に関して2つの選択肢がありました。片道3時間弱の鉄道(+学バス)チャレンジと、片道1時間45分の自家用車アドベンチャーです。所要時間としては自家用車の方がだいぶ短いのですが、なんせ距離108kmですから冒険です。正直言って都内在住の方が「所沢遠い~」などと思わず口走ってるのを聞くとですね、どこに住んでて言ってんだって気持ちになりますね。
 
ドライブに際しては、当初は意識高くいこう英会話ポッドキャストを流していました。しかし英語が相当な入眠剤である筆者にとって、朝のドライブと英語の相性は最悪でした。英語の後に日本語の解説が入ればマシかとも考えたのですが、不思議なことに余計ダメでした。
 
そのため非常に早い段階で、それこそ二回目の往路の途中くらいでアルバムをひたすら流す普通のドライブに落ち着いたのでした。今回はそんな自家用車アドベンチャーについて、道中の見所を随所に挟みながらお届けします。
 

通学経路レビュー、小田原厚木道路経由にて

 
 
1 自宅付近から国道に出るまでに気をつけて
交通事故総合分析センターの調査によると、徒歩や自転車の交通死亡事故のうちの半数以上が「自宅から500m以内」で起きているとのことです。そりゃ人が「道路という空間に居る時間」の中で圧倒的に多いのは自宅付近でしょうから割合だけでは危険性の判断は難しい気がしますが、見慣れた場所でも事故は起こりうるという指摘はfantasyではないでしょう。実際に自宅から国道135号線までの道は決して見通しがよいわけではありませんので、隣の人に気づかれぬような慎重さをもって旅立たなければいけません。特に児童が登校中のような時間帯は、彼らこそが最優先車両です。
 
2 国道135号線、真鶴駅前で気をつけて
エンジンが十分に温まった車は国道135号線に入り、いきなりいつもの渋滞に巻き込まれます。小田原と伊豆地方を結ぶこの国道は、住民と観光客が混在する地域の大動脈です。特に「真鶴駅前」交差点は事実上の五叉路な上に、右左折専用レーンがないために待機車がFIGHT CLUBよろしく平等に待たされて平等に苛立たなければならない現状があります。特に交差点近くに駐車違反のジャガーなど居ようものなら、ボンネットでジャンプしてやりたいと思う人もたくさんいるでしょう。なんとか初っ端の試練をやり過ごして、車は本格的に加速を始めます。
 
3 真鶴道路、波打ち際区間に気をつけて
国道135号線と「真鶴ブルーライン」の合流ポイントを経て、車は国道の中でも最も波打ち際なエリアを颯爽と通過していきます。この辺りは過去の台風で何度も高波被害に遭っているのですが、他の有効な選択肢がないので地元民は皆どんなハイリスクな天候でも突っ込んでいきます。そりゃもちろん山側にもっと頑丈な道路があれば嬉しいのですが、斜陽が叫ばれて久しいこの県西地域には誰も見向きもしてくれないのです。けれど青い蒼い空と海の眺めは、他所からの嘲りも侮りも全部洗い流してくれるような偉大さです。
  
4 国道135号線、根府川から先で気をつけて
根府川の交差点に差し掛かる頃合いで、車はまたしても見飽きた渋滞に巻き込まれます。この混雑は平日こそすぐに乗り越えられるのですが、ここから先の数kmは特に土日に激しい渋滞を引き起こします。その一因に、地元民御用達の脇道と国道が合流してしまう交点の存在があります。交点からこれから利用する高速道路の入口(石橋インターチェンジ(IC))まで、わずかの距離なのですが。例えばここを片側2車線とするだけでもだいぶ改善すると思うのですが。お上と地元と観光客のMelodyがHarmonyとなる日はいつになるのでしょうか。
 
5 小田原のジャンクションに気をつけて
車は石橋ICから、自動車専用道路「西湘バイパス」に入ります。料金所を通過しますと、すぐに見えてきます早川ジャンクション(Jct.)から「箱根方面」に入ります。そこで数kmほど直進し、今度は小田原西Jct.にて「厚木方面」と示された道に入ります。途中には「ターンパイク」という、一度乗ったら芦ノ湖まで一直線な有料道路への道もありますので注意が必要です。いっそゼミなんて放置して箱根まで行ってしまいたくなりますが、ここは正気を保たなければなりません。この辺りのジャンクションは、あらゆる可能性を網羅した首都高顔負けの蜘蛛の巣のごとき複雑さです。そして小田原西Jct.のランプを回る最中には、通ってきた蜘蛛の糸が一すじ断続しているのを垣間見ることができます。
 
6 小田厚の初手おパト様に気をつけて
小田原西Jct.を通過して小田原厚木道路(略称「小田厚」)に入った車は、いよいよスピードを上げることを許されるようになります。片側2車線・制限速度時速70kmの道は、ここまで走ってきた道路とは桁違いの走りやすさです。今こそI Can Make Itとばかりに真っ直ぐなトンネルの出口からさらに加速しようと思う刹那、赤の烏帽子をキラキラさせたおパト様のお姿が視界に飛び込んできます。いえまだ何もやっていやしません!とそっとアクセルを緩めつつ、長い戦いの始まりを覚悟します。
 
7 小田厚の等速チャレンジに気をつけて
神奈川県西部では有名な話ですが、小田厚は国内屈指のスピード違反取り締まり路線となっています。しかし箱根などの狭隘な道を通過してきたドライバーは、いよいよここから飛ばせる!と認識しやすいようです。そのためどうしてもアクセルをベタ踏みしがちなのですが、それがまさにこの道路と道路交通法が仕掛ける罠なのです。速いのはもちろん、しかし円滑な通行のために遅いのも迷惑なので神経を使います。その事情を知っているような同志と共に、左車線をわき目も振らず等速でROLLIN' ROLLINGするさまはいかに県警の厳しい調教が奏功しているかを示しています。この痺れる空気感、一見は百聞にしかずですよ。
 
8 二宮トラップに気をつけて
車は小田原料金所を経て、小田厚最長の「弁天山トンネル」に差し掛かります。この料金所(小田原東IC)から二宮IC、更に大磯ICまでは最も(免許が)危険に晒されるめちゃくちゃな区間です。本当に驚く台数のおパト様が放たれているのがこのエリアで、筆者は当該区間を勝手に「二宮トラップ」と名付けて警戒しています。特に二宮IC手前の「サグ(下り勾配→登り勾配となる箇所)」は、無警戒で走っていると自ずとスピードが出てしまう魔のポイントです。そこでもしも灰色や紺色のセダンを見つけたら、接近して確かめようとせず擬態おパト様と思ってください。仮に煽られたとしても、加速は絶対に禁物です。もちろんそういう車がトロく走っていたら、絶対に追い越してはいけません。(免許が)極めて危険ですし、(免停によって)通学にも影響が出てしまいます。ぐぎぎぎ、いつもご苦労さまです。
 
9 小田厚は2回料金所を通るから気をつけて
小田厚が厚木区間に入ったところで、道路は平塚の街の風景を俯瞰できるエリアに入ります。さらっと「厚木区間」と書きましたが、小田厚は小田原区間・厚木区間それぞれで料金が必要です。昭和の豪傑:河野一郎氏がトップダウンで敷設を求めた、とも囁かれる小田厚ですが、不思議な料金体系やICの短すぎる加速車線など、無理に開通させた軋みが様々な形で残っています。とはいえ生活道路として考えると、利用距離に応じた料金設定となっているともいえますし、なによりもしも小田厚がなかったらこの地域の物流は成り立たないわけで、一郎氏には大きな希望をありがとうと言わなければなりません。
 
10 平塚付近、やっぱりおパト様に気をつけて
平塚ICからの道路は主に地上に降り立ち、高速道路レーンの両脇を一般道が並走するという妙に丁寧な路線となります。長閑な田畑の風景が続き、まるでピクニックにでも行ってしまいそうな雰囲気に溶け込んだおパト様はここでも獲物を待っています。特にこの区域は気をつけてとかはありません。全ページが出題範囲です。同じ道を走り続けて数十分、高速道路5方向からの車が運命的に集結する小田厚の終点(厚木IC)に入ります。
 
11 厚木・海老名Jct のややこしさに気をつけて
東名高速道路の足音が聞こえる厚木ICから圏央道へは、東名高速道路の横を並走するアプローチ道路で向かいます。半径の大きなランプウェイを途中で更に左側に進み、東名本線ではない道に進みます。意外にもわかりづらいですので、怖がらないBe Strongな心が必要です。アプローチ道路が相模川を渡ったあたりで、車は軽めの渋滞に巻き込まれます。実はこの道中は、少し先の海老名Jct.から圏央道に入るのですが、その合流形態が先の石橋IC前に似た欠陥仕様であるため、特に通勤時間帯に目詰まりを起こすようになっています。改良工事が施されて以前よりはマシになりましたが、もう少し抜本的な対応が求められます。
 
12 厚木PAは海老名SAほどではないので気をつけて
Jct.を突破したところで、圏央道は一路相模原の大地を目指します。筆者にとって忘れ得ぬ人が住んでいた地域で、ちょっとだけ昔を思い出したりします。ただもう1時間近く運転してきましたので、圏央厚木IC近くの厚木パーキングエリア(PA)で休憩を取ることにします。この厚木PA、PAというからにはSA(サービスエリア)ほどの大きさはないのですが、近隣の海老名SAを思い浮かべていると、どうしたら説明つくか悩みましたが要はショボく思えてしまいます。あちらはもはやテーマパークですので、比較しないであげてください。ちなみに北行きのPAはトイレが、南行きのPAは眺めが綺麗です。
 
お手洗いと買い物を済ませ、後半戦に参ります。
 
13 厚木PAより先にはしばらくPAがないので気をつけて
立ち寄ってくれた誰もにYou make me happyな見上げたサービス精神によって、無事食糧などを買い込むことができました。車はふたたび圏央道を北上し、いよいよ山間の区間に突入します。なお圏央道北回りにおいて、ここから先しばらくPAはありません。少しでも不安がありましたら、確実にPAで休憩時間を取ることをお薦めします。それにしても思えば筆者はこれまでの学生生活で「小学校:徒歩5分」「中高:(寮から)徒歩5分」「eスクール:起動から受講開始まで5分」となかなか通学距離には恵まれてきましたが、その好運を一気に返上する遠距離通学がここに実現したものだなと思います。それと起動時間遅くね?と違和感を持たれた'80sより後にお生まれの皆さんは、Windowsは年を取るとだいたいこんな感じになると覚えていてもらえると嬉しいです。
 
14 圏央道区間でも当然ながらおパト様には気をつけて
車は相模原愛川ICの手前辺りから、長大トンネルの連続する渋めの区間に突入します。やや長さのある「愛川トンネル」を抜けると、個人的には大陸的な雰囲気すら感じる相模原の雄大な自然が視界に飛び込んできます。何もないイメージの相模原ですが、こんなにもイノセントな景色があるじゃないの。圏央道のこの区間(海老名~八王子)は設計最高速度が時速100キロ(制限速度は時速80キロ)となっているため、周辺の景色が小田厚と比較してゆっくり流れるように見えることもそう思わせるのかもしれません。ただしそれに浮かれて飛ばしてしまうと、やはり大量に潜んでいるおパト様のJewelryになってしまいますのでご注意ください。ぐぎぎぎぎ、いつも朝早くからご苦労様です。
 
15 長大トンネルで眠くならないように気をつけて
相模原ICを通過してほどなく、ちょっとつぶれたような形状が特徴的な「城山トンネル」が眼前に迫ってきます。そういえばその前の「小倉山トンネル」は、今時の高速道路には珍しい勾配がありました。圏央道のこの辺りの土木構造物は、土木技術の進歩と苦闘が垣間見られる貴重な区間でもあるのです。そして車は圏央道でも最長の、その割には直球過ぎるネーミングであまり印象に残らない「相模原八王子トンネル」をひた走ります。トンネル内ゆえの代わり映えしない景色に負けてREM睡眠に陥らないように、かつ中央道や高尾山ICなどの出口を探している車の右往左往に巻き込まれないようにしなければなりません。
 
16 八王子城跡トンネルの合流はマジで気をつけて
中央道への分岐があるということは、中央道からの合流もあるのが道理です。そしてこの八王子Jct.の北端で口を開ける「八王子城跡トンネル」入口は、通学ルート中で最も危険なポイントです。まず高速道路の設計最高速度が急に下がる(100km→80km)ため、見た目として道幅が狭く感じられます。加えて中央道から合流する車は中央道の感覚で走り続けるため、どの車もスピードが出がちです。そして合流はトンネルの入り口部分のため、速いスピードで合流した車の車間は空間の狭さもあってより迫り来るように感じられます。なによりトンネルは2km余りあるため、その張り詰めた雰囲気が延々と保持されます。猛スピードのトラック達のWALTZに挟まれて城跡トンネル内を進もうものなら、耳を塞ぎながら耐えるしかありません。こういう問題箇所にこそパトカーが張っていてしかるべきだと思うのですが、なぜかほとんどいないのも悲しいところです。実際問題として、待機できる空間的な余裕がないこともあるかもしれません。特に観光でこの区間をたまに利用されるドライバーの皆さまは、ここだけはマジでご注意ください。
 
17 あきる野ICから先のオービス区間に気をつけて
それにしても所沢って遠いですね。きっとこれを我慢強く読まれている方も目が疲れてきているのではないかと勝手に心配になります。殺伐とした八王子Jct.周辺を抜けると、多摩の長閑な風景を垣間見ることができます。あきる野ICから先は取り締まりの進化論、オービス設置区間に入ります。そのため猛っていたトラック達もやっと大人しいスピードになり、このオービスは無駄じゃないと感じます。そして道路はいつからかDNAのようにうねり、内回り線が外回り線の上に覆い被さりながらトンネルに突入します。
 
18 青梅トンネルの急カーブに気をつけて
都心部以外ではなかなかお目に掛からない二層構造の青梅トンネルには、高速道路とは思えないほどの急カーブが存在しています。幻聴が聞こえてきそうな警告を促すデコボコ路面区間を抜けると、道路が今までの並走構造を取り戻し始めます。その構造物の隙間から青い空が見えたら、それは青梅の青空です。いやそれが何だという話なのですが、結構ホッとするのは確かです。やっと一息つけるような視野の広さに安心して、しかしまだもう少しだけ走らなければなりません。
 
19 料金所を出てすぐに渋滞があるかもなので気をつけて
所沢キャンパス(とこキャン)への最寄りは、関越道の所沢ICではなく圏央道の入間ICとなります。日の光のReflectionに注意しつつやたら長い接続道路をゆったり走り、料金所を過ぎて三井アウトレットパークに向かうレーン(右側)を選びます。ここではそのアウトレットパーク利用者の入場車列や、国道16号線お馴染みの渋滞が起きていることがありますので追突には注意が必要です。
 
20 国道16号線はどこ行っても混むから気をつけて
それにしても、国道16号線が混んでないエリアってあるんでしょうかね。神奈川県域ではとにかく混雑に定評のある国道16号線ですが、埼玉県域でもやはり流れが悪くなっています。圏央道神奈川区間(さがみ縦貫道路)が開通していなければ、車通学は事実上不可能だったでしょう。それにしても本当、地図を頼りに遠くへと来てしまったものですね。
 
21 n叉路「宮寺」で気をつけて
しかしそんな国道16号線の走破は、幸いにも1km程度で終わりとなります。宮寺という何叉路なの??という交差点を左前方方向に進み、道幅の結構狭い片側1車線の道路をいよいよラストスパートです。運転に余裕を持つため毎回早めに出ようとは心がけていましたが、色々あってギリギリになることも結構ありました。生きていることにもっと感謝しつつ、I wanna be thereと念じながら引き続き慎重に車を走らせます。
 
22 とこキャン北門駐車場のクランクに気をつけて
埼玉県道179号線を東進して押しボタン式信号機のある交差点を右折すると、いよいよとこキャンの気配が感じられます。ドライブの終わりは、また何かが始まるStarting Overに他なりません。言葉にならない万感の思いで、学生専用の北門駐車場に向かいます。しかしここでアプローチ路の線形がクランクとなっていることに注意する必要があります。教習所か。入場後、徐行しつつ空きスペースを見定めます。できれば橋の下にあたる部分が日陰になって最高なのですが、なぜかそこにはいつもゴツいBMWが停まっているので泣く泣くスルーします。とこキャン駅が出来たらもう車は駐められないなと思いつつ、狙いを定めて慎重に駐車します。
 
23 駐車場からゼミ室まで結構あるから気をつけて
いよいよとこキャン到着です。しかしまだこの通学は未完です。さあ行こうかと助手席の荷物を取り上げ、あとはゼミ室まで徒歩5分です。でも、ちょっと疲れましたね。せっかくなのであと5分、流していたアルバムの最後の曲をじっくり聴いていくことにしましょうか。
 
 
 
参考
交通事故総合分析センター(ITARDA):交通事故統計表データ

https://www.itarda.or.jp/materials/statistical/free

Mr.Children:18th Album「Reflection」

Pato:大掃除をしていたら、Mr.Childrenの「Atomic Heart」が出てきた。ふと18歳の時、車でデートした日のことを思い出した。(コラム)