いんせい!! #11 Reflection!!

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陽炎が見える初夏の路面を、やんわりと見つめながらハンドルを握ります。目的地は108km先です。

 

#11 Reflection!!

 
神奈川県南西端地域在住のなんちゃって社会人院生たる筆者には、通学に関して2つの選択肢がありました。片道3時間弱の鉄道(+学バス)チャレンジと、片道1時間45分の自家用車アドベンチャーです。所要時間としては自家用車の方がだいぶ短いのですが、なんせ距離108kmですから冒険です。ちなみに筆者はこれまでの学生生活で「小学校:徒歩5分」「中高:(寮から)徒歩5分」「eスクール:起動から受講開始まで5分」となかなか通学距離には恵まれてきましたが、その好運を一気に返上する遠距離通学がここに実現してしまいました。正直言って都内在住の方が「所沢遠い~」などと思わず口走ってるのを聞くとですね、どこに住んでて言ってんだって気持ちになりますね。それと起動時間遅くね?と違和感を持たれた主に若い皆さんは、Windowsは年を取るとだいたいこんな感じになると覚えていてもらえると嬉しいです。
 
ドライブに際しては、当初は意識高くいこうと思ったか英会話ポッドキャストを流していました。しかし英語が相当な入眠剤である筆者にとって、朝のドライブと英語の相性は最悪でした。そのため非常に早い段階で、それこそ二回目の往路の途中くらいでアルバムをひたすら流す普通のドライブに落ち着いたのでした。今回はそんな自家用車アドベンチャーについて、道中にて特にヘビロテした「Reflection【naked】/Mr.Children」のレビューを挟みながらお届けします。
 

とこキャンまでの通学経路レビュー(「Reflection」に乗せて)

 
 
♪01 fantasy
Mr.Childrenの歴史上で最多の収録曲数を誇るオリジナルアルバムは、発進を心地よく促すかのような威勢の良いイントロを持つ「fantasy」で始まります。更に曲の序盤では、これからの長い通学に前向きさを与えるようなフレーズも耳に残ります。しかし勝手知ったる自宅付近の道ですが、慣れは油断を生んで予想外の事故を誘発するものです。それを見透かしたように曲は次第に世間の影の部分を示し、運転への慎重な心持ちをも思い出させてくれます。ちなみにこの曲は、世界に冠たるBMWのCM曲に採用されています。光と影が交錯する内容の曲を選び取ったB社もこの曲をアルバム1曲目に採用したMr.Childrenも、それぞれが内包した卓越したセンスを仄めかしています。ちなみに筆者の車は大胆不敵にも、世界に冠たるNISSANです。
 
♪02 FIGHT CLUB
エンジンが十分に温まった車は自宅近くの駅前通りの、いつもの渋滞に突入します。曲は前曲からさらなるアップビートで気持ちを高めようとしてくれますが、そのままアクセルを踏めない苛立ちが歌詞に乗り移ります。歌は筆者がもし現役の大学生だったならそんな時代であっただろう情景を、モチーフとなった名作映画「ファイト・クラブ」の雰囲気に沿って若々しくかつ荒々しく歌い上げます。駅前を抜けて渋滞をパスすると、いよいよ車は国道を上り始めます。とはいえここから景気づけとばかりに、フルスロットルでの高速走行は禁物です。確かに道幅は気持ち広くなるのですが、前の車を追い越せるようなものではなくカーブも連続しているため見通しはとても悪くなっています。真の敵はこのカーブでも、もちろん前の車でもないのです。今日も安全運転に徹して、共に今を生き抜こうじゃありませんか。
 
♪03 斜陽
前曲とは打って変わって哀愁を帯びたサウンドが、朝の強い陽射しを浴びるドライブに新鮮な気持ちを呼び起こしてくれます。タイトルは太宰治の同名小説が由来とのことで、踏みしめるようなメロディーと歌詞が聴き手を乾いた憂鬱に誘います。車は真鶴道路(真鶴ブルーライン)と合流すると、国道の中でも最も海に近いエリアを颯爽と通過していきます。この辺りは過去の台風で何度も高波被害に遭っているのですが、他の有効な選択肢がないので皆どんなハイリスクな天候でも突っ込んでいきます。そりゃもちろん地元民としてはできれば山側にもっと頑丈な道路が欲しいのですが、斜陽が叫ばれて久しいこの地域には誰も見向きもしてくれないのですよ。
 
♪04 Melody
車が根府川の交差点に差し掛かる頃合いで、冬の夜の繁華街を彷彿とさせるようなポップソングが登場します。この曲は「ガッキーと結婚できない」という一点において世のほぼすべての男性は平等である、という宇宙の真理を創造した大天使新垣結衣氏出演のKOSE・エスプリークCMソングに起用されています。なおこのアルバムはMr.Childrenの歴史において初となるセルフプロデュース作品が主軸となっていますが、この曲を含めた数曲では盟友:小林武史氏をプロデューサーに迎えた「往年のMr.Childrenサウンド」を堪能することができます。CD全盛の時期にシングルA面で出ていたら大ヒット間違いなしのメロディーは、もちろん今聴いても名作の風合いです。
 
♪05 蜘蛛の糸
車は石橋インターチェンジ(IC)から、いよいよ自動車専用道路に入ります。5曲目は「蜘蛛の糸」、今度は芥川龍之介なタイトルです。実際は曲名からイメージされる雰囲気よりは直球の、Mr.Children十八番のスローバラードを堪能することができます。道順に話を戻すと、車は石橋料金所(石橋IC)を通過後すぐ到達する早川ジャンクション(Jct.)にて箱根方面に向かいます。ランプから本線へ合流した段階では右車線を走ることになるので、どこかで左車線に移ってください。とは言っても「ターンパイク」という標識のある分岐に誘われると、名作ゲーム「Getting Over It」の蛇のごとく芦ノ湖までひとっ飛びですのでそこはスルーしましょう。いっそこのまま箱根に行っちゃってもそれはそれで達成感を得られるかもしれないのですが、それはまたの機会に・・・です。しばらく走ると、豪傑河野一郎氏がトップダウンで敷設を求めたとされる小田原厚木道路(略称「小田厚」)と箱根方面との分岐を示す大きな案内標識(小田原西Jct.)が見えてきます。ここを間違えずに進入できれば、あとはおとなしく小田厚に合流するのみです。この辺りのジャンクションは、蜘蛛の糸というより蜘蛛の巣のような複雑さです。小田原西Jct.を回る最中には、通ってきた道が一すじ断続しているのを垣間見ることができます。
 
♪06 I Can Make It*
小田原西Jct.を通過して小田厚に入った車は、いよいよスピードを上げることを許されるようになります。しかし曲は前曲にも増して重くなり、迷いやもどかしさを表した歌詞もその雰囲気を見事に増幅させます。日々研究指導であれはダメこれもダメなにやってもダメめんどうなのはダメダメと言い放たれているダメ量産人間としては、思わずハンドルを握る手に力が入ります。結果的にその憤懣が、急加速の誘惑を押し止めてくれているのかもしれません。小田厚最初のトンネル:荻窪トンネルを抜けると、美しい小田原市街と赤の烏帽子をキラキラさせたお車にMake itされた車が視界に入ってきます。いったい何言ってるんだというところですが、まさに追いかけてるはずが追われてるってやつですね。いやもう捕まってるんですけどね。
 
♪07 ROLLIN' ROLLING~一見は百聞に如かず*
神奈川県西部では有名な話ですが、小田厚は国内屈指のスピード違反取り締まり路線となっています。制限速度はほとんどの区間が時速70kmですが、箱根などの狭く見通しの悪い道を通過してきたドライバーは「簡単な線形になったな→これは飛ばせる!」と認識しやすいようです。そのためどうしてもアクセルをベタ踏みしがちなのですが、それがまさにこの道路と道路交通法が仕掛ける罠なのです。前曲から更に投げやりな雰囲気も漂うロックンロールに乗せて、車は時速70kmをいかに守るか(上も下も)に神経を使います。速いのはもちろん、遅いのも迷惑なのでご法度です。その事情を知っているような同志と共に、集団行動のごとく左車線で等速運動チャレンジを行うさまはいかに県警の厳しい調教が奏功しているかを示しています。この痺れる空気感、百聞は一見にしかずですよ。
 
♪08 放たれる*
車は小田原料金所を経て、小田厚最長の弁天山トンネルに差し掛かります。この料金所(小田原東IC)から二宮IC、更に大磯ICまでは最も(免許が)危険に晒されるめちゃくちゃな区間です。本当に驚く台数のおパト様が放たれているのがこのエリアで、筆者は当該区間を勝手に「二宮トラップ」と名付けて警戒しています。特に二宮IC付近のサグ(下り勾配→登り勾配となる箇所)は、無警戒で走っていると自ずとスピードが出てしまう魔のポイントです。そこでもしも灰色や紺色のセダンを見つけたら、接近して確かめようとせず覆面さんと思ってください。違っていたとしても、それは名誉の空振りです。そういう車がトロく走っていたら、絶対にせっついたり追い越したりしてはいけません。(免許が)極めて危険ですし、(免停によって)通学にも影響が出てしまいます。ぐぎぎぎ、いつもご苦労さまです。
 
♪09 街の風景*
小田厚が厚木区間に入ったところで、アルバムは前半の山場曲「街の風景」を迎えます。山場と言っても壮大なストリングスが挿入され・・・という趣ではなく、人々の日常に寄り添うことを得意とするMr.Childrenの曲の中でも特に親近感を覚える佳作に仕上がっています。元は小田和正氏との共作曲「パノラマの街」として披露されていた楽曲ですが、この曲単体でも豊かなストーリー性が湛えられています。例えば大磯ICを過ぎると到達する平塚料金所前後など、小田厚では街を俯瞰することができる一瞬がいくつもあります。この曲はそんな街に佇む家の一つ一つにも、掛け替えのないドラマがあることを想像させてくれるのです。とはいえもちろん、「パノラマの街」の2作との違いを楽しむことも可能です。ちなみに小田厚は小田原と平塚に2つの料金所があり、それぞれでETCの課金音を楽しむことができます。
 
♪10 運命*
小田厚にはE85という高速道路ナンバリングのほか、国道271号線という国道路線番号が振られています。そのうえ、平塚ICからは高速道路レーンの両脇を一般道が並走する丁寧な路線となります。また並走化に合わせて道路はほとんど地上を走るようになり、ドライブは長閑な田畑を眺めながらの爽快なものとなります。まるでピクニックにでも行ってしまいそうな雰囲気に合わせ、「運命」はとてもかわいらしくキャッチーなサウンドを聴かせてくれます。この曲も時代が時代なら大ヒット間違いなしの風格ですが、そういった曲がアルバムの位置的にも地味な1曲として聴けるのはつくづく底知れないバンドです。同じ道を走り続けて数十分、高速道路5方向からの車が運命的に集結する小田厚の終点(厚木料金所・厚木IC)に入ります。
 
♪11 足音~Be Strong
厚木料金所・厚木ICから圏央道へは、東名高速道路・・・の横を並走するアプローチ道路で向かいます。半径の大きなランプウェイを曲がりながら、アルバム前半の締め曲「足音~Be Strong」が車内に響き渡ります。この曲は傑作「終わりなき旅」にも通じるような雄大なストリングスに包まれて、歩み出すための勇気を力強く授けてくれる名曲です。アプローチ道路が相模川を渡・・・ったところで、車は軽めの渋滞に巻き込まれます。実はこの道中は少し先の海老名Jct.から圏央道に入るのですが、その合流形態が非常にオブラートに包んだ言い方になりますが狂おしいまでの欠陥仕様であるため特に通勤時間帯に目詰まりを起こすようになっています。圏央道開通後に緊急の改良工事が施されてこれでもかなりマシになりましたが、とりあえずは一緒に歌って焦りをごまかすしかありません。
 
♪12 忘れ得ぬ人
ジャンクションを突破したところで、アルバム随一のしっとり曲「忘れ得ぬ人」を迎えます。筆者がおもむろに聞かせたMr.Childrenというバンドをいたく気に入り、筆者よりずっと筋金入りのMr.Childrenファンであり続けた従妹はこの近くに住んでいました。素敵なバンドを教えられて本当に良かったし、このバンドを選んで飛躍した従妹は今でも一族の誇りです。もしかしたらこの原稿も、その従妹に宛てて書いているのかもしれません。このアルバムは本当に良いんだよね、まあ聴いてると思うんだけどね。こんな感じで、なかなか感傷的になる曲です。ただもう1時間近く運転してきましたので、圏央厚木IC近くの厚木パーキングエリア(PA)で休憩を取ることにします。
 
♪13 You make me happy*
こんなところでいきなり感傷的になられても引くわ、てなもんですね。気を取り直して、所沢まで気持ちを新たに運転していきましょう。アルバム後半の1曲目はジャジーな雰囲気と変拍子が特徴的な、どちらかというと変化球な曲です。Mr.Childrenの歴史の中ではシングルB面曲に多いパターンで、コアなファンが大切にしそうな逸品です。そう書くと「ウケない曲」と同義で受け取られてしまいそうですが、でもコアなファンが飛びつける曲を多数用意できるってそれはそれですごいことではないでしょうか。もちろん筆者もこういうMr.Childrenも好きですし、「羊、吠える」を好きと言っていた従妹もお気に入りの曲に違いありません。
 
♪14 Jewelry*
車は相模原愛川ICの手前辺りから、長大トンネルの連続する渋めの区間に突入します。後半2曲目の「Jewelry」も引き続きアダルティーな雰囲気を持った曲で、トンネル内の代わり映えしない景色を意味ありげなものに変えてくれます。愛川トンネルを抜けると、個人的には大陸的な雰囲気すら感じる相模原の雄大な自然が視界に飛び込んできます。何もないイメージの相模原ですが、こんなにも懐の深い景色があるじゃないの。圏央道のこの区間(海老名~八王子)は設計最高速度が時速100キロ(制限速度は時速80キロ)となっているため、周辺の景色が小田厚と比較してゆっくり流れるように見えることもそう思わせるのかもしれません。ただしそれに浮かれて飛ばしてしまうと、やはり大量に潜んでいる覆面さんのJewelryになってしまいますのでご注意ください。ぐぎぎぎぎ、いつも本当に朝早くからご苦労さまです。
 
♪15 REM
相模原ICを通過しちょっとつぶれたような断面が特徴的な城山トンネルを通過すると、叩きつけるような歌が印象的なハードロックチューン「REM」が始まります。徹頭徹尾攻撃的なリズムが支配するこの曲は、この高速道路建設における屈指の係争地域であった高尾山周辺の闘争の歴史を思い起こさせるようです。車は圏央道でも最長の、その割には直球過ぎるネーミングであまり印象に残らない相模原八王子トンネルをひた走ります。曲がクライマックスを迎える頃には出口を探している車や中央自動車道と交差する八王子Jct.も目前に迫り、車両間の緊張度も心なしか上がっていきます。
 
♪16 WALTZ
中央道への分岐があるということは、中央道からの合流もあるのが道理です。そしてこの八王子Jct.の北端で口を開ける「八王子城跡トンネル入り口」は、通学ルート中で最も危険なポイントです。まず高速道路の設計最高速度が急に下がる(100km→80km)ため、見た目として道幅が狭く感じられます。加えて中央道から合流する車は中央道の感覚で走り続けるため、どの車もスピードが出がちです。そして合流はトンネルの入り口部分のため、速いスピードで合流した車の車間はトンネルという空間の狭さもあってより迫り来るように感じられます。なによりトンネルは2km余りあるため、その張り詰めた雰囲気が延々と保持されます。猛スピードのトラックに挟まれながら城跡トンネル内を進もうものなら、耳を塞ぎながら耐えるしかありません。おまけに交通量はこの区間から明らかに増えるので、正しい流れは右か左かも見定めなければなりません。こういう問題箇所にこそパトカーが張っているべきだと思うのですが、なぜかほとんどいないのも悲しいところです。実際問題として、待機できる空間的な余裕がないこともあるかもしれません。特に観光でこの区間をたまに利用されるドライバーの皆さまは、ここだけはマジでご注意ください。そんなこんなで、冷ややかな切迫感で一杯のサウンドで奏でられる「WALTZ」はこのジャンクションにピッタリです。
 
♪17 進化論
それにしても、遠いところから来てるからなわけですが所沢って遠いですね。でももう少しなので、引き続きアルバムをご堪能ください。殺伐とした八王子Jct.周辺を抜けると、多摩の長閑な風景を垣間見ることができます。あきる野ICから先はオービス設置区間のため、猛っていたトラック達もやっと大人しいスピードになっていきます。正直オービスをもっと手前に置いといてもいいように思うのですが、このオービスの設置効果は高いと感じます。アルバムも攻撃的な展開の曲から一気に弛緩し、神々しい視点で明日への希望を見出すような名曲「進化論」に到達します。こういったあまり盛り上がらないのに印象に残る系の曲を個人的に「Mr.Childrenの煮え切らない曲(代表的な曲「君が好き」の歌詞から)」とカテゴライズしているのですが、何度も聴くと実際はちゃんと美味しくできあがっていることに気づきます。まあ単に、一般的に言うところのスルメ曲です。高速道路はDNAのようにうねり、内回り線が外回り線の上に覆い被さりながらトンネルに突入します。この通学路における圏央道の土木施設は、アルバム同様になかなか飽きさせない景観を提供してくれます。
 
♪18 幻聴
都心部以外ではなかなかお目に掛からない二層構造の青梅トンネルを抜けると、道路が今までの並走構造を取り戻し始めます。その構造物の隙間から青い空が見えたら、それは青梅の青空です。いやそれが何だという話ですが、結構ホッとするのは確かです。やっと一息つけるような視野の広さに安心して、しかしまだもう少しだけ走らなければなりません。この曲「幻聴」もシングルになれば相当世間に浸透したであろうに、本当にファンお気に入りの曲を増やすのが上手いバンドです。曲が終わりを告げる頃、この高速道路の旅も終わりを迎えます。
 
♪19 Reflection
所沢キャンパス(とこキャン)への最寄りは、関越道の所沢ICではなく圏央道の入間ICとなります。やたら長い接続道路をゆったり走り、料金所を過ぎて三井アウトレットパークに向かうレーン(右側)を選びます。ここではそのアウトレットパーク利用者の入場車列や、国道16号線お馴染みの渋滞が起きていることがありますので追突には注意が必要です。アルバムのタイトル曲はシンプルなインストゥルメンタル曲で、高速走行で上気した頭を見事にクールダウンさせてくれます。
 
♪20 遠くへと*
国道16号線への合流が叶う頃、そよ風のように軽やかなサウンドに乗せた「遠くへと」が始まります。110km近く走ってきたけど110km/hは出してないぞ!たぶん!・・・と、この日のドライブの反省をそれとなく促してもくれます。ちなみにこの曲をはじめタイトルにアスタリスクを付与した曲は、アルバムの抜粋版(Drip版)には収録されておりませんのでご注意ください。それにしても、国道16号線が混んでないエリアってあるんでしょうかね。神奈川県域ではとにかく混雑に定評のある国道16号線ですが、埼玉県域でもやはり流れが悪くなっています。圏央道神奈川区間(さがみ縦貫道路)が開通していなければ、車通学は事実上不可能だったでしょう。
 
♪21 I wanna be there*
しかしそんな国道16号線の利用は、幸いにも1km程度で終わりとなります。宮寺という何叉路なの??という交差点を左前方方向に進み、いよいよラストスパートです。運転に余裕を持つため毎回早めに出ようとは心がけていましたが、色々あってギリギリになることも結構ありました。そんなときにこの曲の歌詞は、心の叫びそのものでした。ちなみにこの曲も抜粋版(Drip版)には入っていませんのでお気をつけください。不思議なことに、個人的に好きな曲は抜粋版から漏れた曲が多いです。ファンに愛されそうな曲はあえて外してみた、といったことがあったのかもしれません。まあ筆者の趣味嗜好が元々マイノリティーだから、という影響もあるかもしれませんが。
 
♪22 Starting Over
本作最大スケールのバラード曲にして、これまでのドライブを讃えてくれるような曲「Starting Over」がラス2という最重要ポジションで奏でられます。埼玉県道179号線を東進して押しボタン式信号機のある交差点を右折すると、いよいよ大学キャンパスの気配が感じられます。ドライブの終わりは、また何かが始まることに他なりません。言葉にならない万感の思いで、学生専用の北門駐車場のゲートをくぐり抜けます。200m以上の長さを持つ駐車場の中、少しでも建物からの距離を短くできるような空きスペースを見定めます。できれば橋の下にあたる部分が日陰になって最高なのですが、なぜかそこにはいつもゴツいBMWが停まっているので泣く泣くスルーします。マス目の狙いを定めて慎重に入庫し、完了する頃合いで曲も感動のピークアウトを迎えます。いやー、お疲れさまでした。
 
♪23 未完
Mr.Childrenの本作におけるテーマ曲で、個人的にも本作で最も愛聴した曲「未完」がアルバムのラストを飾ります。例によってシングルになっていないので、人口に膾炙したヒット曲とは言いがたいかもしれません。しかしこの曲はMr.Childrenの魂そのものであり、でもまだここからもっと良い曲を作ってくれそうな予感さえ抱かせてくれます。ちなみにお気づきかと思いますが、もう車は大学キャンパスに着いちゃってるのです。え、早く行かなくていいのかって?
 
いいじゃないですか、この1曲の5分くらい。
 
 
 
※この回は新世紀の文豪Pato氏の以下の記事に着想を得て執筆しました。
「大掃除をしていたら、Mr.Childrenの「Atomic Heart」が出てきた。ふと18歳の時、車でデートした日のことを思い出した。」
 
 
地図:地理院地図
答え合わせ的に、おおよその位置関係と主な道路名を記載したバージョンも置いておきますね。神奈川県西部からとこキャンへ通われる方は、ぜひご活用ください。
 
 
(初出:2021/01/22 #11 通学)