いーすく! #03 試験!

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ただでさえあわただしい毎日に追い打ちを掛ける締め切り×10の出現に、猫の肉球をひたすらぷにぷにするくらしか現実逃避の手段がない前期1年目。それでもここで心が折れては社会人の沽券に関わるとばかりにスケジュール管理を徹底し、厳しいカリキュラムを乗り越えるための生活が軌道に乗ってきました。
 
あとはこのスケジュールに乗っかっていけば単位は来る・・・そう思っていた時期が僕にもありました。
 

#3 試験!

 
いえ、そもそも皆勤賞していればなんとかなるという思い込み自体が間違いなのであって、履修時に了承していなければならないことです。当然筆者も何も考えずに履修した訳ではないのですが、予想以上に時間を奪われる役所での申請とかありますよね。えっ、そんな書式知らないよ?別の書類も必要なの?という、そんな感じです。
 
ここで思い出すのが「科目登録会」にて頻出したキーワードです。
 
「負荷はどうなの!」
 
ここでの「負荷」というのは、単にその科目が面白いかそうでないかというより、「受講の大変さ」+「試験の大変さ」の合成変数・・・合わせ技の概念だったのではないでしょうか。そうであるなら、科目登録会の参加者がやたらその度合いに注目するのも当然です。
 
これは後に浮かび上がってきた事実ですが、eスクールの学生は何よりも単位を落とすことを恐れています。これは前回お知らせした「学費従量制」が根源にあると思われます。落とす分だけ損するわけですから、そりゃ必死になりますよね。とりあえず取っとこ!という発想になるのは一部の大富豪か、制度をよく理解していない学生だけでしょう。筆者はそうではないです。・・・後期以降は。
 
閑話休題、それぞれの科目の「負荷」というのは、結局は受講開始の段階では必ずしも分からないということがご理解いただけたかと思います。講義は楽しくても試験が大変ということがあり得るからです。冒頭の思いを更に正確に記すと、最終的な難易度は知らんけどとりあえずそのスタートライン(皆勤賞)には立っておこう、という思いでした。遥か遠くのゴールでも余裕で見えたつもりになったかと思えば、目先ではっきり感じ取れる危険性からも堂々と目を背けたり、学生って本当に面倒ですね。
 

成績のつけ方

 
さて、またコラムの前半はeスクールのカリキュラム説明になることをご容赦ください。でもこうやって少しずつ導入されると、案外読めるんじゃないかなと思って書いています。ピーマンを丸ごと食べてくれる子供は少ないですが、細切れにしてチャーハンに混ぜると案外食べてくれます。それでも食べてくれないケースは、チャーハンがマズいだけです。もちろん、この記事が読者さまの味覚に敵う出来かどうかは全く保証できません。
 
eスクールとは、そのまろやかな響きとは裏腹にガチの大学のため、最終的な単位付与の判断は成績に基づきます。ほとんどの科目の成績は5段階評価で与えられ、高い方から順に「A+,A,B,C,F」となります。要は通知表でいうところの5,4,3,2,1です。あえて日本語で言うと「特優、優、良、可、不可」でしょうか。
 
このうち単位がもらえるのは「A+~C」までで、「F」の場合は単位がもらえません。いわゆる落単です。ただしもらえる単位数は優でも可でも同じ(2単位科目なら「2」、1単位科目なら「1」)なので、オールA+でもオールCでも124単位積み上げられれば卒業できます。
 
いや、そういうんじゃなくて、良い成績を取るためには何をしたらよいのか。それを知りたい方がほとんどだと思います。これはシラバスと呼ばれる科目の要項に掲載されています。
 
ここで、とある科目のシラバスに記載されていた「成績評価方法」を引用します。
 
レポート:80% 出題されたレポートの評価
平常点:20%  視聴やBBS討論
え?これだけ?と思われるかもしれませんが、これだけでも結構な公式情報です。読み解くと以下のようになります。
 
・この科目には「レポート」があるよ。100点満点中80点の重みだよ。講義の途中で出題するよ。
・100点満点中20点分は「平常点」を成績に入れるよ。平常点は視聴(=受講)やBBSに書き込んだ数で採点するよ。
 
つまりこの科目は「レポート」がとても大きな比重を占めることが分かります。問題はこの「レポート」がどれほど大変なものであるかなのですが、それは受講を経て解き明かされる可能性が高いと考えられます。科目によっては「レポート」の成績評価の比重が低く平常点の比重が高いこともありますし、平常点の採点も受講態度(出席)よりBBSへの書き込み回数を重視することもあります。
 
とにもかくにもここで大事なのは、見当違いな方向に頑張ることを防ぐということです。例えばこの科目で「皆勤賞だけ目指していればいいや」と誤解してレポートをガン無視すると、単位は確実にきません。一方でレポートに懇切丁寧に取り組んでいれば、BBSの議論に乗り切れずに終わっても成績としては悪くないものになる可能性が高くなると思われます。
 
他にもシラバスには授業概要や到達目標、授業計画や参考文献が記載されており、担当の先生はこの内容に沿って講義を行うことが求められています。ごくまれに先生の事情の変化やよからぬ思いつきによって内容が変わることもありますが、あまりにも予告と内容が異なるような理不尽な事例に、少なくとも筆者は遭遇しませんでした。
 

試験(=成績評定)の行い方

 
さてさて、成績のつけ方が明示されていることは分かりましたが、実際の試験ではどうなのよ?という話が残っています。さきの科目で、もう一つ読み取れることがあります。
 
・試験(テスト)はやらないよ。
 
この科目ではレポートと平常点だけで成績評価要素の100%を満たしているので、試験(=制限時間内に設問に回答するタイプの「テスト」)は行われないことが読み取れるのです。ここまで説明して、大学の科目における評価方法の多彩さに気づかれる方もいるかと思いますので、ちょっとおさらいしてみましょう。
 
1:レポート提出方式
講義内容に基づく出題に即したレポートの提出を求められます。回数の規定はありませんが、開講期間中の中間と期末の1回ずつ、または期末の1回のみというパターンが大勢です。分量は様々な方式があるため一概には言えませんが、何の指定もないこと、「A4・2枚以内」と具体的な設定があるもの、「.doc形式以外は認めない」などとファイル形式にやたらこだわってくるもの、「5000字以上」という結構な分量を求めるものまでバラエティに富んでいます。良いレポートとして評価されるには、提示された書式や提出期限を守ったうえで、記述内容が出題への適切な回答になっていることが不可欠です。美味しいカレーの作り方を書いた場合、そういうタイプの題意でなければ十中八九「良い」とは認められません。
 
2:小テスト積み上げ方式
講義内容の理解度を確認するための方式として「小テスト」があります。毎週それほど多くない分量の設問が出題され、それに解答する方式です。たいていの場合は受講期間と小テスト受験期間は連動しているため、受講ホヤホヤの状況で受験する以外になく、結果的に精神的な負担は少なくて済みます。真面目に受講している学生にとっては真面目さが結果に反映されやすいので、とてもありがたい方式です。一方でナマケモノが心を入れ替えても挽回することが難しい方式でもあるので、好みは分かれるかもしれません。
 
3:受講態度見るよ方式(平常点)
通学制でいうところの「出席」にあたるこの方式は、受講期間内に受講を済ませているかどうかがチェックされます。またBBSへの書き込みが求められる科目では、BBSへの参加度合い、具体的には自らの意見を書き込んだ回数やその内容を評価されます。いわゆる「平常点」です。多くの科目において成績評価の比重は高くないものの、あまりに受講態度が悪い(出席率が悪い、BBSに全く参加しないなど)場合、他要素の点数に関わらず一発レッドカード(落単)と明記している科目も少なくありません。
 
4:一発勝負テスト方式
eスクール自慢のシステム(コースナビ)には参照回数や回答可能時間を制限する機能があり、一発勝負の試験に用いられます。例えば制限時間60分の試験なら、「受験開始」のボタンを押した瞬間からカウントダウンが始まり、制限時間前に解答を送信しなければいけないというものです。この方式の恐ろしいところは、解答途中に「送信」を押してしまうとそれで提出扱いとなってしまうこと、ブラウザの「戻る」「更新」に触れてしまうと二度と戻れなくなることなどがあります。うっかり猫がキーボードを押したとあってもダメなものはダメです。あらゆる事故を覚悟しながらの受験となりますので、かなりのスリルを味わえます。
 
以上です。
 
この中でおそらく「試験」という言葉のイメージにマッチしているのは、4:一発勝負テスト方式 だけかと思います。この中のどれが一番楽かと言われればおそらく「2:小テスト積み上げ方式」でしょう。しかしこれも毎週の受講に気を抜けないため、人によってはキツいと思うかもしれません。
 
またどの方式が採用されているにしても、科目担当者(先生)の性格は見事なまでに反映されます。受講していれば簡単に答えられるレポートを出題してくれる神の化身のような先生もいれば、設問内に運転免許センター顔負けの罠を仕掛けてくる悪魔の化身、へそ曲がりのマリーな先生もいらっしゃいます。特にへそ曲がりタイプはどの方式でもそれなりに手間の掛かる工夫を講じてくるので、観念するしかありません。
 

地獄の必修科目「統計学」シリーズ

 
また更なる新規情報で申し訳ないですが、eスクールの科目には大別して「必修科目」と「選択科目」があります。字面の通り、ず履しなければならない科目と、履修するかを選択できる科目です。この大学(学部)は他学部と比較して必修科目は少ない方とされているようですが、それでも数少ない必修科目の一つである統計学については異様に注力しており、それは科目数からも伝わってきます。
 
・入門統計学(選択科目)
・統計学Ⅰ(必修科目。レベル2への進級にはこの科目の単位が必要)
・統計学Ⅱ(必修科目。統計学Ⅰの単位取得後に履修可能。レベル3への進級にはこの科目の単位が必要)
・統計学Ⅲ(選択科目。統計学Ⅱの単位取得後に履修可能)
 
都合4科目。このうち必修は「Ⅰ」と「Ⅱ」のみの2科目ですが、お前は2科目だけでいいのか?足りるのか?いいんだな?という圧力を物言わずにかけてくるようです。また、必修・専門を問わずほとんどの科目は「前期」「後期」どちらかの開講であるのですが、必修科目の「統計学Ⅰ」「統計学Ⅱ」については前期・後期とも開講されていました。
 
これはつまり「前期に入門統計学→後期に統計学Ⅰ」という初心者パターンも可なら「前期に統計学Ⅰ→後期に統計学Ⅱ」という心得者パターンも選べるという、言い訳は聞かない、もとい親心満点の態勢であるということです。筆者は数式を扱う科目の受講が十数年ぶりということもあり、1年目春学期は「入門統計学」を選択することとしました。
 
さて、「入門統計学」を含めた統計学シリーズのシラバスには、このような方針が示されていました。
 
・試験:30%(中間に1回)
・レポート:50%(期末に1回)
・平常点:20%(欠席1回で20%減点)
・出席認定には毎回のレビューシート(形を変えた小テスト)提出が必要
 
(評価手段の)全部じゃないか・・・
 
シラバスには更に気合いの入った授業計画、評価基準に関する説明もありました。統計にビビる者は絶対に駆逐してやる!という気迫に満ちた文面の最後には「内容の出来具合は言うまでもなく、レポートは体裁まで含めて厳しく評価する」というとどめの一言。このシラバスに目を通してビビらなかった学生はいないでしょう。これはもうへそ曲がりとか天邪鬼という次元ではなく、鬼の平蔵です。
 
入門統計学では主に次のような事柄について勉強しました。
 
・偏差値
・相関係数
・を知るための数学の基礎知識
・を知るための心得
 
結果として1年目前期に履修したこの科目のレポートは、その後に受講した統計関係の問題で一番大変な内容だった気がします。30ページくらい手で書いたかな。相関係数っていっぱいあるんですよ。そもそも平均もいっぱいあるし、分散って普通の分散より不偏分散の方が当てはまりが良いケースがありまして、なぜそうなのかの理由を説明していくにはこのコラムの余白は狭すぎるんですよ。
 
つくづく、「入門」という言葉の意味を筆者は間違えて理解していたのかもしれません。いや、門はたしかにくぐりますが、そこまでの道程がもうハンター試験の一次試験なのでした。数学が不安でも、心配は要りません。なぜなら、ここで全部学ぶので。不安があるならそれがなくなるまで頑張らないと先に進めないので。とにかく半泣きになりながら全力でレポートを書いた記憶しかありません。その思いが通じたのか、幸いにも良い成績(単位)をいただくことができました。
 
そしてこのときに育んだ受講姿勢が、間違いなくこの後の大学生活の基準となりました。ズバリ、学問に王道(=近道)はない。もちろん多くの科目で「近道」はできますし、それが習得効率を上げることもあるでしょう。でもそれは「常道」があるから比較できるのであって、本当の意味で近道のありがたみを体感できるのは両方を通った人だけなのです。なにより、受講を終えた時、手元に残される地図が近道を記しただけのものだとしたら、それがなんの役に立つのでしょう?
 
というような気合いを入れて、たまにちょっとだけがんばれるようになったのでした。
 
結局筆者は入門統計学の単位取得に気をよくして、統計学Ⅰ、統計学Ⅱ、勢い勇んで選択科目の統計学Ⅲと履修していき、その都度修羅場に遭遇しながら単位を取得していきました。特に統計学Ⅲは、現役時代ですら数Ⅲを回避した程度のスペックの筆者にとって苦行そのものでした。きみは三元配置分散分析を手計算したことはあるか。
 
そうはいっても、いずれも履修してよかったなと思っています。不満があるとすれば(当然ながら)単位が各科目「2」ずつしかもらえなかったことくらいでしょうか。労力的は10単位くらいかかった気がするんだけどな。
 
もちろんその時の資料やノートは今でも手元にあります。よく考えると、半年も掛けて学んだ成果を手元に置いておくのはむしろ自然なわけですが、その正しい状況を机周りにもたらす機会を与えてくれた松井田先生には今でも感謝しています。
 
ちなみに現在のeスクールでは、カリキュラム改編によって「統計学」の名前が科目名から消えています。しかし統計学を重視するという方針は何も変わっていないようで、学生にとって統計学は相変わらず大きな壁であり続けています。人間科学部の学生たるもの、偏差値に一喜一憂せず、偏差値を計算できる人間にならなくてはいけないのである!
 

(おまけ)入学試験はどうだった?

 
最後に、試験ごとの話で対外的には最も気にかかる(需要の高い)情報と思われる「入学試験」について、書いてみましょう。
 
…といきたいところですが、残念ながら筆者もこの点は体験談すら易々と書くことはできません。そもそも詳しいことは知りませんし、体験談を書こうにもそれが現時点で有効な情報かも推し量ることはできません。結果論でも今は違うかもしれない内容をのうのうと書いてしまえるほど、入学試験は軽いものではありません。
 
そうはいっても、淡い期待を寄せてここまで読まれたかもしれないごく少数の志願者のために、なぜ書けないかを公開情報をもとに言い訳してみます。
 
2020年度現在、eスクール入学試験は「書類審査」と「面接」で構成されています。通常の入学試験では英語やら小論文やら最低でも学科1科目は課せられるものですが、eスクールではそれを行なっていません。つまり書類審査と面接の成績が良ければ合格することになっています。
 
しかし言い換えればこれは、判断材料が書類と面接しかないことを意味します。それこそ1科目でも客観的指標となる「得点」が与えられる科目があるなら、その事前対策(受験勉強)も可能となるわけですが、それがないということは…?
 
非常にうがった見方をすると、とりあえず適当に判定しちゃえ、と当局が仕事を安易に行っている可能性も否定できないわけです。しかし過去数年の各学科の募集人数と合格者数を眺めてみると、毎年のように定員に満たない数しか合格者を出していないことが分かります。
 
ここから読み取れるのは、当局は何らかの厳然とした基準をもって判定しているということです。適当なら、定員分の人数を機械的に合格させればいいわけですから。こうした事実から、少なくとも「適当にやっている」という可能性はきわめて低いと考えざるを得ません。
 
ではその「判定基準」が何かなわけですが、当然ながらそれを示したシラバスはなく、外部には全く分かりません。分かるわけがないし、仮に分かってしまって周知してもそれが次の年に有効かは更に分かりません。なんせ「書類審査」と「面接」ですから、基準はいくらでも変えられてしまいます。
 
それでも何かの情報を得たくて、もし今このコラムを読まれている方の中でeスクールへの受験を検討されている方がいらっしゃいましたら、これだけ言わせてください。
 
とにかくチャレンジしてください。扉は派手に開いています。
 
当たり前過ぎる!ふざけんな!と思われるかもしれません。が、悩むなら、怒るなら、まずはチャレンジしてからにしてほしいのです。その結果、合格すれば万歳ですし、そうならなければ確実にそこに理由があるはずで、それを考えるだけでも前に進むことができます。
 
なお過去の志願者数データを見ると、3学科合計で300人に届いていません。いちおうW大は国内では名門とされる大学のようなので、もう少し人気があってもよさそうなものです。しかしこの学部があまり社会に認知されていないのか、知らない人にあることないこと吹聴されているのか、年間でこれしかチャレンジする人がいないのが現実です。もったいないんじゃないかと思います。言い換えればこれはチャンスです。パッと受かってパパッと仲間になりましょう。
 
締め切り×10の日々がお待ちしています。
 
次回はいよいよスクーリングについて書いてみます。
 
あれ~通信だからスクーリングなんてないんじゃないの~? というツッコミは、読んでからお願いします。